■■ 解説(柱書) ■■(»全体表示)
(1)解釈
正当な権原を有しないで各号に掲げる行為をすると特許権や専用実施権を侵害するものとみなされることである。
【補足1】正当な権原とは、次のものである(»判例1、判例2、判例3)。 @特許発明を実施する正当な権原(特許権の効力が及ばない理由、専用実施権や通常実施権、特許発明を実施する権原付きの質権) A特許権者や専用実施権者の許諾
【補足2】特許発明を実施する正当な権原を有する者(正当権原者)から委託されて各号に掲げる行為をする場合は、正当権原者の指揮監督下で正当権原者のためにのみするのであれば、正当権原者自身による行為と同視される(このことは、特許発明の実施を委託された場合の一機関や手足の成立と同様である)ので、特許権や専用実施権の間接侵害とはならない(»判例)。
【補足3】直接侵害者以外の者が直接侵害者のために各号に掲げる行為をすると、間接侵害になるとともに、直接侵害の幇助となる場合がある。その場合は、直接侵害は直接侵害者と間接侵害者の共同不法行為とみなされる(»民法719条2項)ので、特許権者や専用実施権者は、直接侵害によって生じた損害について間接侵害者に連帯による賠償を請求することができる(»民法719条1項)。