■■ 解説(1項1号) ■■(»全体表示)
(1)趣旨
(1.1)「特許出願前」
新規性の有無の基準時を容易に特定できるとともに、速やかな特許出願の促進にもなるからである。
【補足1】新規性や進歩性の有無その他の優劣の基準時を出願時とすること(いわゆる先願主義や先願優位の原則)は、現在では特許制度を有するすべての国が採用していることである。なお、米国は、近年まで基準時を所定の条件下で発明完成時としていた(いわゆる先発明主義)が、2013年に先願主義に移行した。
【補足2】新規性や進歩性の有無その他の優劣の基準時は、次のように現実の出願時ではない場合もある。 @優先権の主張を伴う特許出願にあっては、優先権が生じている発明については、優先日が基準時となる(»第41条2項、パリ条約4条B)。 A分割出願、変更出願、実用新案登録に基づく特許出願にあっては、適法なものについては、みなし出願時が基準時となる(»第44条2項、第46条6項−同44条2項、第46条の2第2項)。
(2)解釈
(2.1)「公然知られた発明」
その発明について守秘義務を有しない者が知っている発明である(»判例)。
【補足】守秘義務は、明示によるもの(»判例)に限られず、黙示によるもの(»判例1、判例2、判例3、判例4、判例5、判例6、判例7、判例8)でもよい。