■■ 解説(3項 ■■»全体表示

(1)趣旨

 国際段階における明細書や請求の範囲の翻訳文が提出されなければ、国内段階において特許出願として成立するために少なくとも必要である明細書や特許請求の範囲が存在しないことになるからである

 補足1特許協力条約は国内移行期間(優先日から0月)内に指定国の国内段階への移行に必要な手続がされなければその指定国においては国内出願の取下げと同一の効果をもって国際出願の効果を消滅させることを認めている(»PCT4条)が、日本においては、国際段階における明細書や請求の範囲の翻訳文が提出されない場合(特許協力条約が認める通り、国際特許出願は直ちにみなし取下げとなる)とそれ以外の国内段階への移行に必要な手続がされない場合(次条による補正の命令の対象となり、それに応じなければ国際特許出願は却下される)とで効果を異ならせている。これは一見すると外国人に不利にみえるが、内国民待遇の原則には違反しない»判例1判例2判例3

 補足2翻訳文を提出できる期間内に正確な翻訳文を作成する時間がなければ、とりあえず機械翻訳による翻訳文を提出してみなし取下げを回避してから、誤訳訂正書によって正確な翻訳文に補正をすることができる»184条の